インターネット「ぴゅう太郎」 「いつか何処かで」
17 いつか何処かで
名古屋港水族館のテーマは「南極への旅」です。名古屋港には南極観測船「ふじ」が係留され、その前には1956年第一次南極地域観測隊ソリ犬で第二次隊の越冬中止で南極昭和基地に取り残されて1年間生き抜いた「タロ・ジロ」の像が立っています。
この水族館では、テーマに添って黒潮、深海、珊瑚礁、豪州、そして南極への旅が順に楽しめるようになっています。
オーストラリアの自然状態を保つようにしたテラリウムには、ブタバナ(豚鼻)ガメ、ヘビクビ(蛇首)ガメ、南米アロワナと同種のサラトガ、南米と南アフリカそして豪州にいて大陸移動説の証拠となる陸に上がった魚、肺魚等が飼育されていました。
床に大きく描かれた南極大陸の地図の上に立って見上げると天井にはシロナガスクジラの模型と親子の巨大な骨が展示されています。そこには今は不用の「足」を支える小さな骨があります。つまりクジラは陸から海に帰っていった哺乳類なのです。
かつて空を飛んでいた鳥類も海に帰っていきました。
ペンギンは空から海に帰っていった進化した鳥なのです。
人工雪が降るペンギン館には、エンペラ(皇帝)ペンギンの次に大きなキング(王様)ペンギン、あご髭のあるヒゲペンギン、白いヘッドホーンをしたようなジェンツーペンギン、そして目の回りが白くかわいいアデリーペンギンがいます。
5月5日に足の甲上で暖めた卵から生まれたキングペンギンの子供は、11月大きくなってもなお産毛に包まれ、かわいい仕草で愛嬌を振りまいていました。南極のみに生息するキングペンギンとアデリーペンギンは産卵時期が半年ずれているようです。
11月アデリーペンギンは岩を集めて卵をお腹に抱いて暖めていました。ペンギンはルッカリーとよばれる集団で抱卵し外敵から卵を守ります。生まれてからも子供たちはクレイシとよばれる幼稚園に入り集団で大人たちに囲まれて生活します。
やはり進化した鳥は子育ても違うのです。
生物は、陸にあがったり、海に帰ったりして生活環境を変えることで進化適応し、その子孫を残してきました。その一方で、
クロダイやクマノミのようにオスがメスに性転換するもの、逆にキンギョハナダイやキュウセンのようにメスがオスに性転換するものそしてシャコガイやカタツムリのように自分で卵子と精子を放出するものなど、自分自身を変えて子孫を残す生物もいます。
環境や自身を変えて懸命に生きていることがよくわかりました。
では、自分の生活はどうか。自分を変えるとはどういうことか。
難しい禅問答をしながらポートブリッジを渡りました。
マリンブルーの波のような「ポートブリッジ」は帆船をデザインしたポートビルと名古屋港水族館とを結んでいます。海抜58mのポートビル展望台から夜の静寂に浮かぶ係船を眺めました。
オリエントビーナス(1990年 21906トン)が天津から寄港しました。でもまた、明日、すぐに海に帰っていきます。ふじ丸(1989年 23340トン)、にっぽん丸(1990年 21903トン)、飛鳥(1991年 28701トン)、クリスタルハーモニー(1990年 48600トン)もこの港に寄港するそうです。
海に帰るとはどういうことか。生きるとはどういうことか。
この船と、いつか何処かで、再び出会うことがあれば、その時
この答が見つからない難問にもう一度挑戦したいと思いました。
しかし、この問はペンギンに直接きいた方が早いかもしれない。
「いつか何処かで」