インターネット「ぴゅう太郎」 「赤道の向こうに」
14. カメラとビデオ
外国で日本人のイメージをマンガにするとメガネとカメラは欠かせないようだ。私はそういう日本人がきらいであるが、残念ながら私自身もそのマンガと同じ格好である。さらにオーストラリアの人に
「いいカメラですね」
と誉められても、うまく受け答えができずに得意の笑顔でただ
「サンキュー」
と言ってしまった。なにか別の言い方は無いものなのか。
自分自身の表現力の乏しさに嫌気がさす。
カメラには電池が必要である。電池の容量は限られている。特にビデオカメラには特殊な充電式の電池が必要でオーストラリアの通常の売店では入手できない。しかし、充電器を持っていけば電池の心配は一掃される。
日本での100Vの交流を9Vの直流に変換するこの充電器は、コンセントの変換アダプタを取付ければオーストラリアでの240Vの交流でも使用可能だ。つくづく便利になったと思う。以前持っていた古いビデオカメラは、この変換が不可能で無用になってしまった。技術の急速な進歩には驚く。昔、関東から関西に引っ越す人またその逆もそうだが、電化製品を買い替える必要がありたいへんだった。関西はアメリカ式の60Hz関東はヨーロッパ式の50Hz。大げさに言えば日本の電化はアメリカとヨーロッパの覇権争いの結果なのである。しかし、今では同じ電化製品が東西どちらでも使用可能である。私の家には100Vのアメリカ式コンセントの他に200Vのヨーロッパ式コンセントも数箇所付けてある。将来、ヨーロッパ式の電化製品が欲しくなるかもしれないと思ったからである。しかし、ここ10年間、200Vのコンセントは使ったことがない。つまり、技術の進歩は私の家では無用のコンセントを産み出した。
オーストラリアの電化はイギリス式(240V、50Hz)である。イギリスによるオーストラリア国の設立は、イギリスからアメリカ国が独立する1年前である。アメリカとイギリスの電化東西戦争はオーストラリアと日本とにその痕跡をみることができる。オーストラリアのビデオの方式はイギリス式であるが、日本のそれはアメリカ式である。しかし、最近世界中のビデオ方式で再生可能なビデオデッキも販売されている。アメリカ式しか再生できない私のビデオデッキが無用になる日も近い。
日本の国旗は「日の丸」で東西関ケ原の戦いに参戦した一武将の旗印が元になっている。オーストラリアの国旗にはイギリス(ユニオンジャック)とアメリカ(オーストラリアの7州・準州を表す7稜星)が統一されている。
異なるものが統一されるときなにかが無用になるが、残して置きたい気持もある。
私は静止画像録画可能のビデオカメラを買ったので、もうフイルムを使うカメラは無用のはずであるが、どうしてもカメラで撮りたいところもある。
それゆえに悲しいことに私は、カメラとビデオカメラの両方を持って旅行をし、私の大嫌いな海外の日本人のイメージを自分自身でさらに誇張させてしまった。
「赤道の向こうに」