インターネット「ぴゅう太郎」

 「赤道の向こうに」

13. 虹の化石


 空から見る虹は丸い。
飛行機の窓から雲の上を見ていて発見した。7色の美しい円環が、種々の雲に飛び移って動いている。
地上でこれまで見てきた虹は円弧の一部でしかなかったのだ。雨の後に見る虹は弓形で時には大きな半円形の虹もみたことがあった。また、二重の円弧を描く虹を学校の屋上から見たときはとても感激した。
しかし、そのときも閉じた円環ではなかった。空から見える円環の虹はレインボーとはいえないのかもしれない。
なぜなら雨は雲の下に降るもので雲の上に映る虹はサンボーというべきだろう。
ちなみに私が言うまでもなくなんと英語の辞書にはサンボーという言葉が既にあった。
日本語ではそれにあたる言葉がみあたらない。
一方、日本では虹の色をふつう七色で表現するが、オーストラリアでは三原色が一般的である。
少しだけ、物の見方が違っている訳である。

 オパールは、「虹の化石」と呼ばれている。
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空を駈ける美しい円環「サンボー」が地上に降り立ちいつか複雑にその色が絡み合って化石になった。
・・・
といった逸話が合いそうな表現だと思った。私は宝石にまったく興味はないが、女性はそうではないらしい。
妻に旅の記念として1つ買うことになった。宝石店の店員からホワイトオパール、ブラックオパール、ボルダーオパールの区別を指導され、さらにオパールをひっくり返して裏側から石の表面が見えないものは張り合わせのオパールであるとの鑑別法まで教授された。なるほど宝石は奥が深く複雑なものである。サンスクリット語で宝石のことをUPALAという。
つまりOPALとは宝石そのものなのである。

 オパールは誕生石で10月、「安楽」を意味するといわれる。
太陽の下で雲の上を駆けめぐっていたサンボーは地上におりて化石になった。
そして地上の人間はその深い眠りからサンボーを掘り起こした。
その「虹の化石」は宝石として人の手から手へ、指から指へ移っていく。
いつしか永遠の安楽を求めてまた再び空の虹になることを夢見てサンボーは旅を続けている。
その長い旅先で、少しでも長くそのサンボーいやオパールが妻と一緒にすごせることを私は願っている。


「赤道の向こうに」