インターネット「ぴゅう太郎」

 「赤道の向こうに」

9. ロータリーでの交通事故


20年前、私はロサンゼルスで右側通行する大きな車に驚いた。太陽の下で広いフリーウェイを気持ちよさそうに走っていた。それから10年ほどして、ローマでは狭い道路に小さい車が二重駐車しているのにまた驚いてしまった。内側に閉じこめられた車はどうやって正規の道を走るのだろうか。

 オーストラリアでやっと私は安心できた。オーストラリアと日本そしてもちろんイギリスは同じ左側通行である。
車の大きさもなじみ深い。
クイーンズランド州の車のナンバープレートにはと書いてありなんだかとても明るい気分になった。
ナンバーはアルファベット3文字と数字3文字で色は黄色、緑色、黒色など登録される州により異なる。自分の好きな6文字以内のナンバーを申請することも可能と聞き、おかしなところにオーストラリアの心の広さを感じてしまった。車検も簡単で1年に1度登録ステッカーを張り替えるだけだという。
それでは車の事故も多いだろうと想像するが事実は違った。
広大な土地と車密度の低い点を考慮しても、やはり日本の交通事故がオーストラリアのそれを不名誉にも圧倒してしまうのは悲しい。信号は正しい指示を出している。しかし、正しいはずの信号は、逆に不確かな安全しか保証していない。
黄信号はほとんど赤信号を意味するはずなのだが、実際には多くのドライバーに急いでわたる青信号としてしか映らない。
だから、多くの交通事故が交差点で起こってしまう。
ケアンズやゴールドコーストで私は信号のない交差点に不安を感じた。そのかわり交差点がロータリーになっていたり、右折用の脇道を見つけた。
さらに交差点は信号に頼らずに、自分自身の責任で渡らなければならないという価値ある発見をした。

 とはいうものの、観光バスに乗っていればなにも心配いらない。カンガルーに注意、馬に注意、そして羊に注意などする必要はないのである。
私はバスの中でくつろいでいた。・・・
しかしである。
私はロータリーで窓からの景色がいっこうに変わらないことに気が付いた。
バスドライバーは不気味な笑いを浮かべている。
バスガイド嬢はまたかという表情で、
「このバスは今、オーストラリアで特徴的な事故に巻き込まれました。このロータリーは皆様の拍手がないと抜け出ることができません。」
といっている。
ロータリーが近づく度に
「またか」
と条件反射するようになった。

 したがって、オーストラリアのロータリーではこのような特殊な交通事故に巻き込まれる危険性があることに十分注意する必要がある。


「赤道の向こうに」