インターネット「ぴゅう太郎」

 「赤道の向こうに」

5. おとなの酒



 日本には「成人の日」という祝日がある。20才になると独立した大人とみなされ、選挙権が与えられる。
一方、犯罪に関しては少年法での保護対象からはずされる。
ちなみに重大犯罪については16才から、自動車免許や成人向け映画などに関しては18才以上が対象になっている。
とにかく、二十歳をすぎれば成人であり、国をあげて祝い、飲酒と喫煙が公認される。オーストラリアのワインが常緑樹・樫の樽で、イギリスのウイスキーが落葉樹・楢の樽で育つように、日本の白米と麹は吉野産杉に抱かれて芳醇な香りをつけて旅立つ。
日本では新酒ができるとそれを知らせる常緑樹の枝でつくった丸い杉玉を玄関に飾る。
ワインの新酒をグリーンワインというのに似ている。

 オーストラリアでは昔ホテルでしか酒を売ることができなかった。
私は、宿泊できないホテルの看板が掛かってる所を見つけた。また、BYOの看板のあるレストランは、Bring Your Ownの意味でその店では酒を販売できないので、自分で酒を調達し店に持ち込むと聞いたがその店は見なかった。
オージービールとワインは人気がある。
ビールの銘柄には地方色が強く、各州地域によりことなり、どこにいっても自分の州のビールしか飲まない人もいる。
私もブリスベンでその工場の横を走ったという極めていいかげんな理由から、クイーンズランド州のビールにこだわってみた。
オーストラリアの砂漠では、小麦粉とビールからパンを焼くというが、ビール中の発酵母が小麦粉を発泡させるという。
大自然の中で澄み切った空気を吸って作られたパンはとてもおいしいに違いない。
日本では最近発泡酒の製造がさかんである。ビールは麦芽から製造するが、発泡酒はその麦芽をほんの少しだけ減らしてそのかわり麦芽糖を加える。
発泡酒の味はほとんどビールと変わらないが、値段は格安である。
どうやら酒税率が低いことが原因らしい。
近い将来、国税局が横槍をいれるかもしれない。
私は海外旅行をすると酒や化粧品など免税品をつい必要以上に買ってしまう。
免税品の購入を一切やめればもう一度旅行ができるとおもうこともあるが、いつも免税という言葉に負けてしまう。

 おとなになった時のイメージとして、「免じる」という言葉のほかに「とれたて」という響きも見逃せない。
麦やぶどうの産地は日本、アメリカ、ヨーロッパだけでなく、赤道を越えてほぼ同じ緯度・気候のオーストラリアにも存在する。オージーワインの新酒は南半球という地理を生かして、フランスからのボージョレヌーボより半年も早く飲めるので人気がある。

 新しく成人する若者は、おとなになることに免じて新酒を飲むが、できることなら既におとなの私はもう一度新酒を飲んで何をしても赦される赤ん坊に生まれ変わりたいと願った。


「赤道の向こうに」