インターネット「ぴゅう太郎」

 「赤道の向こうに」

3. おかしな想像


 ベッドと朝食(B&B)さえあれば人は旅をすることができる。ケアンズのホテルで私は朝食を自分で調達するため、そこに生活する人にとって当たり前の買物をした。つまりちょっとだけ旅から離れて生活の気分を味わってみたいのである。
オーストラリアのスーパーマーケットで買い物をすると飲料、食料などの大きさと安さに驚く。食べきれないほどの肉と果物そしてジュースを買っても思ったほどドルが減らない。素材が豊富だけではなく、流通システムが日本に比べて合理的にできている。その一方、展示方法は雑でまるで倉庫で買い物をしている感じで、大きさ品質はまちまちで中には腐ったものも平気で混じっている。果物は自分でひとつずつ選んだ。34ドルだったので54ドルだすと硬貨は戻されてしまった。おつりはまず1ドル硬貨をだし35、5ドル紙幣を追加し40、最後に10ドル紙幣をだし50と足し算でくれた。話には聞いていたが実際に20ドル紙幣をもらおうとした引き算は受け付けてもらえなかった。以外に頑固なところがある。日本では逆に時々
「こまかいのはありませんか?」などと聞かれる。
郷に入っては郷に従えということである。

 余った硬貨はおみやげにした。1、2、5、10、20、50セント、1ドル、そして2ドル硬貨にはそれぞれポッサム、エリマキトカゲ、ハリモグラ、孔雀、カモノハシ、カンガルー・エミュー、カンガルー、そして学者・南十字星が描かれ動物と人間がテーマで動的である。このうち50セントが一番大きく最近では人間家族が描かれている硬貨も新しく使われている。一方日本では1、5、10、50、100、そして500円硬貨には、若葉、稲穂、葉環・平等院、菊、桜、そして桐がデザインされ植物と建物が主体で静的な印象をうける。

 日本の年賀状にはその年の動物の絵がよく描かれる。おかしな習慣だが、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の12支が巡り、また木(甲乙)火(丙丁)土(戊己)金(庚辛)水(壬葵)の5行(10干)と組合わさってその年の動物が年賀状に刻印されている。95年は乙亥で、96年は丙子、97年は丁丑となる。自分の誕生年と動物(干支)と重ねると年齢を知るのに便利で、12年ごとに人生の節目を、60年で一巡しめでたく定年を迎えることができる。一方クリスマスカードには、花や木そして家が描かれることが多い。オーストラリアでは今年は何の花なのだろう。もしもその年の花木があればと思う。例えば硬貨に7種の動物があるがこれに世界一大きな30ドル銀貨に描かれている笑いカワセミとコアラ、ウオンバット、ディンゴ、そしてクロコダイルなどを加えて12支とし、ユーカリ、ポインシアナ、ジャカランダ、マカデミア、クルミなどその年の5木(または10花)を組み合わせてクリスマスカードに刻印されるとおもしろい。今年はユーカリとコアラの年、来年はポインシアナとカンガルーの年と言った具合。きっと世界中からオーストラリアにクリスマスカードのリクエストが60年間は間違いなく届くだろうと想像した。

 朝食のクルミパンを見ておかしな想像をしながら、こんどオーストラリアに来るときは朝食だけでなくベッドも自分で探そうと思った。きっと別な新しくおかしな発見があるかもしれないから。


「赤道の向こうに」